このコーナーでは、私どものこだわりや想い、豆腐に関するあれこれをお届けします。
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■連載第4回 「消泡剤って?? その2」
消泡剤の問題点を知り「これからは消泡剤を使わないで豆腐を作ろう!」と堅く
決心した私は、早速消泡剤を使わず生呉(なまご…一晩水に漬けた大豆を砕いた
もの)を炊きました。
当時の私どもの工場では、昔ながらの地釜で生呉を炊いていました。その地釜で
炊き始めると、呉が溢れるわ溢れるわ! 釜の周りは溢れ出た呉でとんでもな
い事になりました。
「なんて事だ!消泡剤を入れないと、こんな事になってしまうのか!」
「うーん、どうしよう?」
「そうや!火力を弱くしよう」と、思いつき弱火にしました。
ところが、弱火にすると今度は呉が炊けないのです。
火力を強くすると溢れる。弱くすると炊けない。・・・弱火でも時間をかければ
と考えやってみましたが時間が経つにつれ釜が焦げ付いてきて焦げ臭くなりとて
も使い物にはなりません。当たり前と言えばそれまでですが、物凄いジレンマで
す。
昔の豆腐屋さんは、泡を抑えるために、油揚げに使った後の酸化した古い油に米
ぬかを混ぜたものを加えたりしていたそうです。見方によってはこの方法は廃品
活用のリサイクルにも見えますが、私は「ちょっと違うよなー」と、気乗りしま
せんでした。
「この地釜で呉を炊いている限り、消泡剤と縁を切れないのか・・・」
結局こぶしを握り締め、堅く決心したつもりが、決心もどきだったことが
露呈し、ガタガタと崩れていったのです。
「俺ってダメなヤツ」・・・また、悶々とした日々に逆戻りです。
私どもが消泡剤を使わず豆腐を作れるようになるのは、それから数年後です。
そのきっかけと経緯は、後で改めて書かせていただきます。
次回は凝固剤についてです。お楽しみに!
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