このコーナーでは、私どものこだわりや想い、豆腐に関するあれこれをお届けします。
前回の「ミツの心」はこちら
■連載第8回 「衛生管理の第一歩」
前回までの「ミツの心」では私、山下浩希がこの山下ミツ商店を継ぎ、美味しい豆腐作りを目指す中での取り組みについて書きました。
今回からは、豆腐作りにおける衛生管理への取り組みについて書かせていただきます。
豆腐に限らず食品製造では美味しさ追求は言うまでもありませんが、同時に製品の鮮度や、工場の清潔さ等も徹底管理し、お客様に安全を提供しなくてはなりません。
最近では不二家さんの事件が記憶に新しいところです。
あのような事件を知ると、他人事とは思えず胸が締め付けられます。
皆様はご自宅の台所を「綺麗だ」と思いますか?
ほとんどの皆様は「綺麗だ」と思っておられると思います。
しかし、お友達の家に遊びに行った時、台所を見て「ちょっと・・・」と感じたことありませんか?
お友達は「綺麗だ」と思っているのに自分から見ると綺麗に見えない事ってありますね。
それは、あくまでも自分自身の感覚の基準で「綺麗だ」ということであって、必ずしも清潔とは言えないものかもしれません。
恥ずかしながら山下ミツ商店も、10数年前までは自己流の清掃を”一生懸命”して「綺麗な工場だ」と自分で思っていました。
そんな時、あるデパートさんの物産展に出店することになりました。その時、新規取引先ということで、デパートさんから工場の衛生管理についてアンケート調査の書類が届きました。
その調査票には「定期的に一般生菌検査を実施していますか?」とか「衛生管理の指導を受けていますか?」など10数項目の質問がありました。その質問に対し、答えは「いいえ」「いいえ」「いいえ」・・・・・・。「これじゃ提出できないぞ」いうことになり、金沢の(株)DMLという検査会社の千田社長にお願いし御指導いただくことになりました。その時にDMLさんから指導に来て下さったのが、新蔵登喜男さんでした。(新蔵さんについては、こちらをご覧下さい。)
2日間ほど新蔵さんは工場のチェックをし、A4用紙10数枚からなるレポートで改善箇所の指摘をしてくださいました。しかし、当時の私は折角の新蔵さんの指摘指導を口では「はい」と返事をしながらも、「いずれ新工場を建てるのだからその時でいいや」と真剣に聞いていませんでした。
そんな気持ちのまま数年経ち、あの「雪印事件」が起きたのです。
その「雪印事件」をきっかけに、お取引をしていたスーパーさんのチェックも厳しくなり、あるスーパーさんの抜き打ちでの抜き取り検査で悪い結果を出してしまったのです。(つづく) |