このコーナーでは、私どものこだわりや想い、豆腐に関するあれこれをお届けします。
前回の「ミツの心」はこちら
■連載第13回 「豆乳の濃度2」
高濃度の豆乳作りに取り組みましたが、なかなか満足する豆乳は出来ませんでした。
完全に炊き切れていない豆乳しかできないのです。しっかり炊けている部分と十分炊けていない部分があるのです。
前回の「ミツの心」で書きましたが、呉は固める前のコンクリートの様なものですから、その呉に均等に熱が伝わるように、攪拌(かくはん)をしっかりしなくてはいけない事がわかってきました。
当時、私どもが使っていた釜には、一応攪拌機能がついていましたが、今思うと高濃度の豆乳を作るには今ひとつという感じでした。
しかし、蒸気圧や煮沸設定温度を上げたり下げたり、蒸らし時間を伸ばしたり減らしたり・・・いろいろ試していくうちに、まんべんなくしっかり炊けた、コクのある豆乳ができるようになりました。
高濃度の豆乳を炊くコツをつかんだ私は、「もっと濃い豆乳を」と、徹底的に水分を減らして豆乳を炊くことに取り組んだのです。
しかし、この取り組みで大きな事に気付きました。
それは「高濃度の豆乳が必ずしも美味しい豆腐になるとは限らない」ということです。
「それぞれの豆腐に『ほどほど』というものがある」と気付いたのです。
例えば、私どもの主力商品「ミツの堅」。水分を十分切った堅い豆腐ですから、読者の皆様は高濃度の豆乳を固めて作っていると思われているといるのではないでしょうか。
実のところ、当店での豆乳濃度は「ミツの絹」が15度に対し、「ミツの堅」は9度なのです。
少し薄めの豆乳をしばらく熟成させ、それが固まった豆腐を櫂で崩します。そこから、ゆっくりとぎりぎりまでお湯を切ります。それから型箱に詰めて固めた豆腐は、弾力もあり美味しいのです。
この様に、それぞれの豆腐の特性というか個性に応じて、それに相応しい豆乳を炊く・・・これが大切なのです。
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