このコーナーでは、私どものこだわりや想い、豆腐に関するあれこれをお届けします。
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■連載第16回 「てんびんの詩の精神・その1」
私ども山下ミツ商店の企業理念「ミツの心」の誓いの第2項で「てんびんの詩の精神で真の商人を目指します」と謳っています。 この企業理念は私の名刺にも印刷されていて、名刺交換した方から「てんびんの詩って何ですか?」とよく聞かれます。 今回は私、山下浩希の人生を変えてくれた映画「てんびんの詩」についてです。
私は1984年3月に大学を卒業しましたが、家業の豆腐屋を継ぐのが嫌で、地元の食品スーパーに就職しました。 張り切って就職し頑張っていたのですが直ぐに壁にぶち当たり仕事が嫌になりかけていました。 そんな時に出会ったのが「てんびんの詩」という映画でした。
≪ストーリー≫ 大正時代の滋賀県五個荘町、代々続く商家の長男近藤大作が小学校を優秀な成績で卒業した日、父が「お前も13歳、自分の生きる道を決めなくてはならない。」と言って鍋蓋の入った包みを渡す。 「この鍋蓋を明日から売れ。この鍋蓋が売れないようなら近藤家の世継ぎにはなれない」と告げられる。
翌朝大作少年は天秤棒に鍋蓋を下げ出発。 父の取引先の家、大工の家、農家の家・・・いろいろ訪ね歩くが全く相手にされない。(何の変哲も無いただの鍋蓋が簡単に売れる訳がない。たまたま鍋蓋が割れたりした家にタイミングよく行けば別だが)揉み手で卑屈に笑ったり、同情を買う為に演技の練習をしたり、母を継母に仕立てたり・・・2ヶ月3ヶ月経っても売れない。
ある日、大作少年は40km離れた叔母の家に1日掛かりで行くが、伯母は家の中にも入れず追い返す。 大作少年は徹夜で家まで帰る。 朝、家に着くと母が弁当を作って玄関で待っていた。「商人になる覚悟は出来ているのか?」と言う問いに「はい!」と答える大作少年。 「それなら商いに行きなさい!」「夜寝てないのに・・・明日からではあかんか?」「明日の覚悟は覚悟やない!」という母の容赦なく厳しい言葉に、大作少年は売れるまで帰らない覚悟をする。
それでも売れない・・・。
そんな時、大作少年は流れ川につけてある鍋や鍋蓋を見つける。 「この鍋蓋が無くなったら家の人困るやろうな。困ったら買ってくれるのでは・・・」 大作少年は鍋蓋を手に持って「あ〜〜〜〜。・・・・・ つづく
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