このコーナーでは、私どものこだわりや想い、豆腐に関するあれこれをお届けします。
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■連載第26回「宅配便を使った豆腐の配達」
「翌日配達」を謳った宅配便が出現したのは30年くらい前でしたでしょうか。
学生時代、東大阪市に住んでいた私は、白峰の実家に宅配便で荷物を送ろうとしたところ、取次ぎの酒屋さんで「白峰という所はエリア外で、地元の運送会社を中継するから2日かかるよ」と言われました。
あれから物凄いスピードで配送ルートが確立、エリアも全国隅々まで網羅され、生ものの鮮度維持のためクール対応までしています。
現在は、当たり前のように全国に宅配便を使って豆腐を送っている私どもも、最初から宅配便をビジネスとして活用していたわけではありませんでした。 むしろ、「県外に豆腐を送る」なんて全く頭に無かったというのが正直なところです。
友人に「山下君とこの豆腐、堅くて珍しいから東京で売れるんじゃないか」と言われても「・・・?」。それくらい、当時の私は、"宅配便を使って販売する"ということに目が向いていませんでした。
そんな私が、初めて宅配便を使って豆腐を送ったのは、家業を継いで数年後、加賀市の飲食店さんからの注文があってからです。
石川県内とはいえ加賀市は遠く、とても自分で配達出来ないので、宅配便を使ったのです。
ちょうどその頃、ある勉強会で御指導頂いている、金沢市の(株)芝寿しの梶谷会長から「これからは宅配便で全国にススイのスイの時代だよ」とお葉書を頂きました。
それで私も「宅配便を使って販売する」ということに目が向き始めたところ、そのお葉書に書かれているように、時代の流れというか全国から注文が入るようになったのです。
それから、豆腐を安全で美味しい状態で送るための梱包について試行錯誤が始まりました。
加賀市への配送や、梶谷会長のお葉書がきっかけにもなり、発砲スチロールの厚み、大きさに見合った保冷剤の数の調整、運搬中の衝撃に耐える容器の開発などに積極的に取り組むようになりました。
豆腐という、「柔らかい生もの」という商品特性上、運送段階で水漏れや破損という事も珍しくなく、特に容器やフイルムは何度も何度も改良を重ねました。
私どもでは、配送時の梱包の基準として、「30度の外気温でも20時間冷やし続けられる」ことを前提に、緩衝材や保冷剤の量を工夫しています。
届く頃に、保冷剤の芯が残っている状態でお届けできるように配慮しております。
お陰様で、マスメディアやインターネット等の情報網の発達もあり、石川県外の方からも、たくさんのご注文を頂いており、毎日、宅配便を使って白峰から全国に発送させていただいております。
北海道から沖縄まで、水漏れや破損することなくお届けでき、全国の皆様から「美味しかったよ」のお声をいただけることが、何よりも嬉しいです。
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