このコーナーでは、私どものこだわりや想い、豆腐に関するあれこれをお届けします。
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■連載第27回「豆腐屋はカッコイイ!?」
去る11月11日、東京御茶ノ水の東京ガーデンパレスホテルにおいて、全国豆腐油揚商工組合連合会の研修会に参加してきました。
その中に青年部活性委員会が企画したパネルディスカッション「豆腐屋はカッコイイ」がありました。
「豆腐屋はカッコイイ」というテーマで討論するということ自体が「豆腐屋はカッコよくない」と思っているいるからなのでは・・・という気もしないではありませんが・・・。
私自身、豆腐屋の息子として生まれ育ち、祖母ミツ・母孝尾の二人が毎日美味しい豆腐を作ることに一生懸命取り組む姿を見てきました。ですからこれまで自分の家が豆腐屋だという事を恥ずかしいと思ったり、カッコ悪いと思ったことはありません。
ところが、豆腐屋が舞台になったこれまで読んだ本やテレビ等では何故か豆腐屋はカッコ悪く扱われていた事が少なくなかった様な気がします。
例えば何年か前にNHKの朝の連続ドラマで豆腐屋の双子の姉妹が主人公の『ふたりっこ』というのがありました。朝の番組ですから当然私達豆腐屋はそのドラマを観る事は出来ませんでした(ですからストーリーは全く知りません)。
たまたま豆腐を作らない日に偶然その番組を見ると姉妹の姉が「面接で豆腐屋の娘です。と言うのが嫌だ・・・」と言っている場面でした。
その場面を偶然観た私はドラマなのに「何言ってんだ!」と一人エキサイトしていました。これはあくまでもドラマでのストーリーですから、それでエキサイトする器が小さい私ですが、ドラマとはいえ、豆腐屋ということがその様なストーリーに組み込まれるのが残念で仕方ありませんでした。
これがもし豆腐屋でなく医院だったらあんな台詞は出てこないでしょう。
ディスカッションでは「自分の仕事に誇りを持つ」「小さい者が大きい事をする」「カッコ悪いことを一生懸命する」「服装など外見も変化さす」・・・等、カッコイイ豆腐屋であるための意見がたくさん出ました。
誰でもカッコ悪い仕事よりカッコイイ仕事をしたいと思います。そのカッコイイ仕事をするには自分自身がカッコ良くするかどうかだと改めて学びました。
「職業に貴賎なし」という言葉もあります。貴賎とカッコはちょっと違うかもしれませんが「与えられた自分の尊い仕事に全力を尽く姿」はどんな仕事でも誰が見てもカッコイイと思います。
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