第1章:伊藤社長ってどんな人?
第2章:男前豆腐店と山下ミツ商店
第3章:両店の今後の展望

第1章  男前豆腐店 伊藤信吾社長って、どんな人?

面白いと思える世界をそのままぶつけたんです。

山下浩希
(以下山下)

今日はよろしくお願いします。
伊藤社長の人となりから、豆腐への想い、また今後の展望についてなど、色々聞かせていただきますね。

伊藤社長
(以下伊藤)

こちらこそよろしくお願いします。

山下

伊藤さん、初めてお会いしたのはいつ頃か覚えていますか?

伊藤

強烈に覚えているのは、ニコタマ(二子玉川)の立ち売りの時に、見に来てもらった事ですね。あと、池袋でお会いしてますよね。

山下

そうですそうです。毎日30万円も売っているって聞いて驚きましたねぇ。しかも売り場は男性スタッフばかり!

伊藤

山下さんに褒められてうれしかったです。

山下

いやいや。それが2年半前くらいですね。そこからグワーッと急上昇ですね。

編集荒井
(以下荒井)

豆腐でどんな全国ブランドを知ってるかと周りに聞いても、みんな「男前!」って言いますね。

伊藤

ありがとうございます。

伊藤ジョニー信吾社長

山下

伊藤さんの話で印象に残っているのが、伊藤さんがどこかに営業へ行ったとき、値段で全然相手にされなくて、高速道路を悶々として帰った話です。その頃は価格で苦しんでいたのですか?

伊藤

そうですね。そこからどうにか抜け出したいと思っていました。
豆腐屋と言っても営業マンという位置付けですから。
豆腐を量産するような工場は値段をたたかれて、そういう状況でしか提案できなかった。
スーパーには、うちのネタ出しが悪いと言われて。ふざけるなよ!と言う感じでしたね。
でもとにかく、テンション上げながら次の仕事へ行く、という感じでしたね。
そしてどんどん営業まわったんです。

山下

そうだったんですか。
でも、僕の所にも「男前豆腐店はスゴイ!」と噂は届いていて、知っていたんですよ。
実は最初は、知っていたんだけど別に…という感じだったんですが、実際、高島屋で見たときスゴイ!と思いました。
でも、スゴイと思ったと同時に、僕には出来ないなーと思いました。
まず、売り場に立てない。
「ジョニーどうですか?」なんて…気恥ずかしくて言えないなと思いました。
歳をとってしまったからかな~(笑)。

伊藤

ははは。
ニコタマという場所の設定も、ちょうど前の年、関東のニコタマ特集を雑誌で見て、すごく良いなぁ~と思って。
それまで、関東のニコタマって行った事無かったんですよね。

山下

でもニコタマ狙っていると言ってましたよね。

伊藤

そうです。そしたら声がかかったんですよ。
もう、即座に「どうやって目立つか!」を考え始めました。

山下

デパートってどうしてもネクタイしめて、キチッとしたイメージなのに、そのデパートの初出店を、Tシャツに前かけと帽子で乗り込んだんですよね?

伊藤

そうなんです。
実は事前に先方には知らせてなくて(笑)。
出店直前にどんな格好でやるのか見せてくれと言われ、一応グラフィックで作ったものを見せて、OKもらったんです。

荒井

ブレイクの大きなきっかけにもなった高島屋出店ですが、事前のリサーチとかされたんですか?

伊藤

よく偵察に食べにいってました。
あそこの半径数キロ以内の豆腐屋さんのお豆腐は全部食べました。
ここにこれをだしたらどう言う反応を示すかなという、シミュレーションをして。
うちは都内をあまりやってなかったので、東京のど真ん中のスーパーさんへの納品もあまりやってなくて。
ただ、目立とう目立とうとして企画だけが先行して、味の仕組み作りをおろそかにすると、お客様は二度と買ってくれない。その部分は、めちゃくちゃ気にしました。

荒井

確かに、私も話題先行で知りました。
そうすると、「味ってどうなの?」って意見も周りでは結構あったのですが、実際食べるとおいしいんですよね!つるんとしてて、プリンみたいで。新鮮でした。
普段食べているお豆腐とは違うなって、充填は充填の美味しさがあって、これは大豆も作り方もしっかりこだわっているんだなということが分りました。

伊藤

ありがとうございます。
目立ちたがり屋ですから、細かくこだわってるんです(笑)。

荒井

凝り性ということがよくわかりました(笑)。
ちなみに、ブレイクしたのは、WEBサイトも結構効果があると思うんですが、どうしてあのようにエキセントリックな感じにしようと思ったんですか?
やはり豆腐屋は、和の雰囲気とか日本古来のというイメージがありますよね。全く違う切り口でいったのはなぜですか?

伊藤

「豆腐屋を始めて何十年…」とか自分達の歴史が語れるような、ネタとして通用するようなものがあれば、そこを切り口としたサイトを作ったと思います。
ですが、うちは量産工場から抜け出し始めた初めの一歩のようなもんですから、それをもってやっても全く効果がないし、地方性を出そうと思っても、茨城や僕のいた千葉ではネタにならないんですよね。
そんな切り口では誰も振り向いてこないなと思って、僕ら位の年代、あの頃で35~36歳の年齢層が"面白いな~"と思ってもらえる世界をそのままぶつけてみようと思ったんです。

荒井

なるほど。まさに的中ですね!

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僕ヤンキーじゃないですよ(笑)。ただファンキーだったんです。

伊藤

僕は未だに、自分は豆腐屋以外は出来ないと思っているんですよね。

荒井

お豆腐屋を始めようとしたきっかけは何だったのですか?

伊藤

父親が建築業から豆腐屋に変わって、その流れで入ったんです。
ですから父には感謝していますね。この業界に入る理由を作ってくれましたし。
そうじゃないと入っていなかったと思いますね。
食品には興味はあったんですけど、父が豆腐屋じゃなかったらいまここにはいませんし。
僕の中では、綺麗・汚いとか関係なく、人がやったことがない面白い仕事をやりたい!と思っていました。

荒井

なるほど。その思いが商品のネーミングにもきているのですね!

伊藤

そうですね~。

荒井

ちなみに、聞かれすぎてるかもしれませんが、何故「ジョニー」なんですか?

伊藤

あの当時は、山下ミツ商店さんをはじめ、茂蔵さんや五右衛門さなど、人の名前で豆腐を売っている高級な豆腐屋さんが多かった。
僕がジョニーでいったというのもそこからですね。真逆で面白いなと思って。
実は、 発表直前まで、イトーヨーカドーさんにも「名前を変えろ」と言われたんですが、「それは出来ない」とつっぱり通して世に出たのが、「風に吹かれて豆腐屋ジョニー」ですね。
せっかく美味しいんだから、認識してもらうために目立とう!と。

山下

確かに、ネーミングは大事ですけど、名前は後からついてくるものかもしれませんね。
野球の背番号でもかっこいい数字があるけど、結局は活躍したらその数字がかっこよく見えることありますもんね。

山下浩希

伊藤

「ジョニーがかっこいい」とか「ジョニーって面白い」と思う感覚も、後からついてきたもんですしね。
僕はその頃ジョニーが面白いと思ってやっていましたが。

山下

なるほどね。ちなみに、小耳にはさんだんですけど、伊藤さんは中学・高校のとき、ヤンキーだったんですか?(笑)

伊藤

全然ヤンキーじゃないですよ(笑)。
20代の後半から、横浜銀蝿をガンガン聞いてたんです。
昭和50年代は、すごくファンキーだったんですね。
だから今でも、いい歳して「あれって面白かったなー」と思うことをやってるだけです。
僕自身はすごく真面目ですよ!!(笑)

荒井

その辺がルーツなんですよね。「マブ」っていうネーミングであったり。

伊藤

そうですね。京都で「マブ」と言うと、江戸時代からの「間夫」の意味があって、芸子さんであったり御茶屋さんのお姉さんであったり・・・。そんな意味もあってマブってつけたんですけど。
売り場で「マブ」って言ったら面白いなと思って。

男前豆腐店商品

荒井

確かに面白いですよね!「マブ食べた?」「マサヒロ食べた?」とかっていう会話が、端から聞いてたらおもしろいですよね(笑)。

伊藤

お客様同士のその会話を聞いていると、俺が興奮してくる(笑)。
「ジョニー最高!」とか「あの"男"うまい!」って言われると。

山下

おもしろい!!

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僕、結局硬派なんです。

山下

伊藤さんは、いろんな雑誌やテレビにも出ていらっしゃいますよね。

伊藤

はい、出ていました。

山下

伊藤さんのことを知ってまもなく、電車に乗っていたら、隣の人が伊藤さんの記事を読んでいて、とても気になったんですよ。
横から読んでてヘエ~と思って、凄いなと思って、そこから気になって気になって。

伊藤

そういう意味では、マスコミの方にネタを提供するというのもひとつの手法ですよね。
テレビって、ものすごい部隊で取材に来るんですよ!
その時に、「自分は何を考えて、どう動こうとしているのか?」についてよく考えて万全に準備して、対応していたのが2005年、2006年ですね。
実は、最近はカチッと硬派に行こうかと思っているんですよ。
だいぶ類似品も出てきたのですが、僕の思うところは結構硬派なんですよ!本質は。
かっこよくやりたいんですよ。それを本気で思っているんですよ。

荒井

なるほど。他のお豆腐やさんについてはどう思われますか?

伊藤

逆にうちに影響されない方がかっこいいって思いますね。
「歴史あるところが、うちの真似したら絶対かっこ悪いのに…」とかって思ったり。
元々かっこいいのに変更するっていう事は、やっちゃいけないと思うな。

山下

自分の豆腐屋としてのスタイルには、こだわり続けて欲しいですよね~。

伊藤

そうなんです。
だから、うちみたいなやり方に関しては全否定でもいいかな、と思っています。
町場の豆腐屋さんはやっちゃいけないと思うし、真逆でやらないといけないと思います。


・・・第2章へ続く。

今回の対談は、以下の3名で行われました。

伊藤信吾社長 伊藤信吾社長
男前豆腐店株式会社 代表取締役社長

〒629-0101
京都府南丹市八木町船枝滝ノ方50番地
TEL:0771-42-4511
URL:http://otokomae.jp/
山下浩希 山下浩希
株式会社山下ミツ商店 代表取締役

〒920-2501
石川県白山市白峰イ23
TEL:076-259-2024
URL:http://www.mitsu102.co.jp/
荒井美樹 荒井美樹
株式会社IBLAB コンテンツディレクター

〒920-0043
石川県金沢市長田町1-7-21 越田ビル3F
TEL:076-234-5554
URL:http://www.iblab.jp/

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第2章は、山下ミツNEWSvol.22号(12月5日配信予定)で公開予定です。
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