ここは、私山下浩と、ご縁のある方にご登場いただいて、ご自身のこと、山下ミツ商店のとうふのことを、語っていただこうというコーナーです。
第1回目は、北元喜雄さんです。
北元 嘉雄 氏 学校法人北陸大学創始者にして医療法人社団映寿会病院、財団法人東洋医学臨床研究所北陸保健研究所、不動産開発など、教育と医療と福祉をはじめとする総合的な新世紀の街創りに取組む太陽グループ代表 |
「美味より人味」 |
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この豆腐を語るとき、少々の贔屓は許していただきたい。というのも、私はこの豆腐に、かなり本気で惚れ込んでいるからだ。そして、この豆腐をつくる、山下ミツ商店の山下浩希君にも・・・。
私と「記まじめ!」との出会いは3〜4ヶ月ほど前、金沢のデパートで一枚の豆腐のパンフレットを手にしたことに遡る。
「美味しいとうふをつくり続けたい、わたしのとうふは、まじめです」広告文に乗せられた訳ではない。が、なにか勘のようなものが働いた。
早速、一丁の「記まじめ!」を食し、そして驚いた。もちろん旨いはうまいのだが、そこには豆腐に賭ける、誠実な人間の味がしたのである。つくり手の顔が目の前に浮かぶ豆腐に、私は初めてお目にかかった。感激も冷めぬまま、その夜彼に手紙を書き、後日、白山麓白峰村にある山下ミツ商店を訪ねた。そして再び驚いた。
この時代に、こんなにも豆腐づくりに夢と情熱を傾ける若者がいたのか・・・。
齢七六歳の私と三七歳の山下君は、その日から人生の友となった。そして、その豆腐の味わいを、私の中で特別な味となった。
老婆心ながら「記まじめ!」を食してみたいと考えている諸兄に。
生醤油も、生姜も、山葵もいけるが、最初の一口だけは、ぜひそのままで。
美しい自然の懐で、ひたむきに豆腐づくりにうちこむ姿がきっと見えてくるはずだ。若い友人の頼みとはいえ、喋りが過ぎた今宵は「お礼に」と届けられた「青竹よせどうふ」を肴に、白山の夏を堪能するつもりである。
vol.10 長由起子様 「情熱を感じる人が集う酒屋でいたい」
vol.08 佐藤俊介様 「目を凝らし、耳を傾けないと聞こえないもの」
vol.07 柴原薫様 「見えないご縁を紡ぐ豆腐」
vol.06 瀧下白峰様 「とうふ『冬 ひと夜』」
vol.05 的崎俊輔様 「あたりまえの豆腐」
vol.04 高橋治様 「"口福"の豆腐」
vol.03 上口昌徳様 「『日本一の朝食』の豆腐」
vol.02 竹本コズエ様 「卓袱台の味」
vol.01 北元喜雄様 「美味より人味」
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