ここは、私山下浩と、ご縁のある方にご登場いただいて、ご自身のこと、山下ミツ商店のとうふのことを、語っていただこうというコーナーです。
第9回目は、森高強さんです。石川県小松市で地酒とワインの店「エスポアもりたか」を経営されてます。
森高さんとは10年位前にお店が加盟しているエスポアチェーンのコンベンションではじめてお会いしました。当時森高さんはお父様からお店を継ぎ酒販店としての方向性を模索していて一緒に「商いって何なんだろう・・・」とずーっと語り合いました(今でもお互い結論のでない永遠のテーマです)。
現在は地酒とワインに特化し全国の小さいけど魂のこもった日本酒や毎年2回フランスへワインの買い付けに行き自社輸入のオリジナルワインを販売。また販売だけでなく「和飲学園」を毎週開きワインの飲み方楽しみ方料理との相性などを学園生の皆さんに教えています。そんな森高さんに現在の取り組み、山下ミツ商店とのかかわりを語っていただきました。
森高強 氏 1962年生まれ。石川県小松市で酒販店「ワインのもりたか」を経営。(社)日本ソムリエ協会認定ワインアドバイザー。第2回ワインアドバイザー全国大会決勝大会進出。もりたか和飲(ワイン)学園 学園長。
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「ワインや日本酒の造り手と消費者をつなぐのが使命」 |
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今から8年ぐらい前から、毎年春と秋の2回フランスへ行くようになり、いろいろなワイナリーを見て回りテイスティングしています。
無名だけどもの凄くいいワインを造っている、だけど売れなくて潰れていくところもあります。
そんなワイナリーから買い付けし、育てていきたいという思いがあります。
それには上面だけの付き合いではなく、家族とのつながりを大事にし、畑仕事をしているところで一緒にご飯を食べ、ワインを飲み、話をしながらお互いの気心が分かり合えるようにならなければ決してできません。
そんなワイナリーの中から、世界No.1のワイン評論家が100点満点をつけたワインが育ち、世界各地から注文が殺到するようになり、一緒に育ててきてよかったなぁとつくづく感じました。
私は酒やワインを売るのが仕事ですが、造り手と消費者をつなぐのが一番大事なことだと思っています。一般にワインは難しいもの、ワイン醸造家はもの凄く立派な大金持ちという印象があるようですが、醸造家と握手してみるとわかります。ごつくて畑仕事をしている手です。ネクタイを締めている人は誰もいません。そういう人たちのパッションを小松の人にも感じてもらいたいと、10月にお客様と一緒にフランスへ行く計画を立てています。旅行会社のツアーと違い、レストランへ行くのではなくワイナリーを訪ね、そこのおかあちゃんが作る、日本でいえば芋の煮っころがしのような、普通のおかずやごはんをご馳走してもらい、一緒に食べながら、このワインはこの人たちが造っているんだと知ってもらいたいのです。
こんなことができるのも、和飲(ワイン)学園を始めて地道に人間関係を築き、ワインに関しては森高のいうことは間違いないと思っていただけたからかなぁと思っています。
フランスへ行くと、日本人が忘れている先祖を大切にということを教えられます。ぶどうの木は50年たたないと本当に良い実をつける木になりません。ですから、醸造家は先祖がその木を苦労して大事に育ててくれたことに感謝します。そして太陽やその年の天候など、自分の力ではどうしようもないものに左右されながらも土地から離れては生活できない、そこで生きていくしかないと覚悟を決めた太い生き方をしています。
山下さんにお会いしたのも7〜8年前。その頃は商売で悩んでいて、相談に行くと何も言わずに目の前にド〜ンと本を積まれ、「これを読んだら」、と。
読んでみると、なるほど、こういう考え方もあるのかと、それまでのごく普通の酒屋から、好きなワインを生かした今のスタイルのきっかけになりました。
同時に、記まじめ!という名前のとうふを知り、それ以来、小松市内を中心に日頃お世話になっている飲食店さんなどに、感謝の印におとうふセットを贈っています。そのとき以来、山下さんはぶっきらぼうだけど、一生お付き合いさせていただける方かなと、勝手に友達の一人だと思っています。
フランスのぶどう農家は原料を大切にして頑張っています。山下さんもいい大豆やにがりなどの原料にこだわり情熱を傾けている。商いのやり方や志向する方向性は違っても、共鳴する部分はとても大きく、これからも言いたいことを言い、また言ってもらえる友達として、相談相手としてお付き合いさせていただきたいと思っています。
vol.10 長由起子様 「情熱を感じる人が集う酒屋でいたい」
vol.08 佐藤俊介様 「目を凝らし、耳を傾けないと聞こえないもの」
vol.07 柴原薫様 「見えないご縁を紡ぐ豆腐」
vol.06 瀧下白峰様 「とうふ『冬 ひと夜』」
vol.05 的崎俊輔様 「あたりまえの豆腐」
vol.04 高橋治様 「"口福"の豆腐」
vol.03 上口昌徳様 「『日本一の朝食』の豆腐」
vol.02 竹本コズエ様 「卓袱台の味」
vol.01 北元喜雄様 「美味より人味」
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