
ここは、私山下浩と、ご縁のある方にご登場いただいて、ご自身のこと、山下ミツ商店のとうふのことを、語っていただこうというコーナーです。
第1回目は、北元喜雄さんです。
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的崎俊輔 氏 阪神大震災からの俊敏な復興事業や世界一のつり橋「明石海峡大橋」の竣工など、淡路島を拠点としながら地球的視点での事業を展開する、株式会社マトザキ代表取締役社長。近年はエコロジーやシルバー対策など新分野にも意欲的に取り組んでいる。 |
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「あたりまえの豆腐」 |
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最初の年「どっしり」で目からウロコが落ちた。
翌年「黒豆つるりつるり」に唸らされ、今年の夏は「青竹よせとうふ」に兜を脱いだ。どれも山下ミツ商店が造る"あたりまえの豆腐"である。が、掛け値なしに美味い。
三年ほど前、木曽に住む、食にうるさい友人から豆腐が届けられた。
一丁千円もする豆腐だという。どうせウケ狙いだろう、と軽い気持ちで食し、驚いた。その味、薫り、食感・・・これまで食べたことのある豆腐とは、全くの別モノだった。
食に対し、さほどこだわりを持たない私でさえ、その違いは明らかだった。改めて同封されていたパンフレットをじっくりと読み直した。木曽の豆腐だと思っていたそれは、加賀の白山麓・白峰村で造られる、堅豆腐「記まじめ!」という名の豆腐だった。
「国産の大豆、天然のにがり、天然の塩、そして白山の清流を用い、昔のままの手法で造られている」そこには記されていた。
不思議に思った。これだけ味が違うのに、何ひとつ特別な素材は見当たらない。それに豆腐といえば、昔から国産大豆、水、天然にがりと塩を使うことが当然ではなかったのか。他の豆腐はそれ以外、何を使っているのか。「記まじめ!」は食の世界で"あたりまえ"が、いかに大切なのかを気付かせてくれた。
「どっしり」は、冷奴も湯豆腐もイケル。目先を変えて豆腐ステーキもよい。「黒豆つるりつるり」は、その滑らかな舌ざわりと黒豆のコクが絶品。「青竹よせとうふ」は、ほのかな青竹の薫りとムースのような食感がたまらない。どんなに美味いか。論より証拠。一度でよいから食べていただきたい。その"あたりまえの豆腐"の凄さ、友人から伝えられた食の感動が、きっと、あなたにも伝わるはずである。
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vol.10 長由起子様 「情熱を感じる人が集う酒屋でいたい」
vol.08 佐藤俊介様 「目を凝らし、耳を傾けないと聞こえないもの」
vol.07 柴原薫様 「見えないご縁を紡ぐ豆腐」
vol.06 瀧下白峰様 「とうふ『冬 ひと夜』」
vol.05 的崎俊輔様 「あたりまえの豆腐」
vol.04 高橋治様 「"口福"の豆腐」
vol.03 上口昌徳様 「『日本一の朝食』の豆腐」
vol.02 竹本コズエ様 「卓袱台の味」
vol.01 北元喜雄様 「美味より人味」
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